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政治

「環境政策学のすすめ」(京大人気講義シリーズ)発刊に当たって

【本書の概要】

「環境政策は何をめざすか?
 歴史から何が学べるか?
 環境政策の原則と手法とは?
 低炭素社会をどう実現するか?

 ――本書は、環境省、OECD、国連などの環境政策関連分野で活動してきた筆者が、自身の行政の場における経験や国際社会での活動、大学での講義や研究の中で考えてきた「環境政策の課題」をできるだけわかりやすく体系的にまとめたものです。読者が疑問に思われるようなところには随時「注釈」が加えられ、本書一冊で環境政策の歴史的話題から手法までの概略が正確に理解できる内容になっています。持続可能な社会への変革手段としての「環境政策」を考えるための好個の入門書です。詳しくは以下のURLからお調べ下さい。
http://pub.maruzen.co.jp/」



【目 次】

第T部 環境政策は何をめざすか
 第1章 なぜ「環境」を学ぶのか
 第2章 持続可能な発展の原則とは
 第3章 環境政策と政府の役割
第U部 歴史から学ぶ
 第4章 第二次世界大戦後の環境問題の変遷――1980年代後半まで
 第5章 環境問題の国際化と環境政策の新たな展開――1980年代後半から
第V部 環境政策の原則と手法
 第6章 環境政策の原則と指針
 第7章 環境政策の手法とその組み合わせ(1) 計画的・総合的手法
 第8章 環境政策の手法とその組み合わせ(2) 規制的手法、経済的手法など
第W部 低炭素社会をめざして
 第9章 地球温暖化と低炭素社会を考える
 第10章 人間と地球環境の安全保障
 第11章 地球温暖化の長期的な目標と低炭素社会



環境問題に対する関心がこれまでになく高まっているように思われます。
 特に地球温暖化については、異常気象の頻発によって、ノーベル平和賞を受賞したIPCCの報告書やアメリカのゴア元副大統領の映画「不都合な真実」などのメッセージともあいまって、私たちの皮膚感覚として影響の顕在化が感じられるほどです。
 これほどまでに市民や企業活動のレベルでも関心が高まっているのに、一向に環境破壊に歯止めがかからないのはどうしてなのか。特に、かつては公害対策や省エネ技術の優等生といわれたわが国が、抜本的な温暖化対策を先送りし、環境経済政策では今や世界の周回遅れになってしまっているのではないか。こんな思いが本書執筆の背景です。
 世界のトレンドは、環境政策と経済政策を統合し、市場に継続的な環境改善や技術革新を促す仕組みを組み込むことにあります。環境制約を新たな経済発展の機会と捉え、CO2の排出は少なくしてなおかつ豊かで安定した社会をめざすのです。現実に温暖化対策の分野では、CO2に価格をつけたEU発の排出量取引制度が、世界の同じような制度とリンクしながら拡大する傾向にあります。世界のトレンドに取り残された日本の仕組みは、技術や社会システムのイノベーションの促進につながらず、ひいては日本産業の国際競争力の低下をもたらすことが危惧されます。
 環境にかける負担を少なくしながら、潤いと品格があり豊かで持続可能な社会はどのようにすれば実現できるでしょうか。そのような社会を構築する上で環境政策はどのような役割を果たせるでしょうか。
筆者は長く環境庁(現在の環境省)に勤務し、環境政策の立案などの仕事に関わってきました。その間に、自然保護や大気保全行政に従事するとともに、1980年代の後半からは、地球環境問題の国際交渉や国内対策に関与し、OECDや国連などで国際的な仕事にも関わりました。2001年11月からは京都大学に奉職し、環境問題を専門とする大学院と、広く学部の学生を対象とした「全学共通教育」科目の中で、「環境政策」の教育と研究を担当しています。
筆者の学生時代は、第2次世界大戦後続いた高度経済成長の最後の時期で、その負の側面として水俣病や四日市の大気汚染などに代表される公害問題が全国に広がり、大きな社会問題となっていました。おりしもスウェーデンのストックホルムで環境問題についての初めての国連レベルでの会議(国連人間環境会議、1972年)が開催されようとしていました。大学では経済学を勉強していましたが、経済が発展しても人々の生活は必ずしも良くなっていないのではないか、そんな問題意識から、当時発足したばかりの環境庁で仕事をすることにしたのです。
当時と現在では環境問題の様相も大きく変わりました。他方、環境行政の仕組みや用いられる政策の手段も大きく発展してきました。しかしながら人間の活動が環境に与える影響(環境への負荷)は増大する一方であり、特に気候変動による影響の拡大は、対処を誤ると、人類の存続自体を脅かすまでになっています。
本書は、筆者の行政の場における経験や、国際社会での活動、大学での講義や研究の中で考えてきたことを、「環境政策論」としてできるだけわかりやすく、体系的にまとめようとしたものです。読者の皆さんが、持続可能な社会に向けて変革の手段としての環境政策を考える手がかりとしていただければ幸いです。
松下和夫
京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)

松下和夫著『〈京大人気講義シリーズ〉環境政策学のすすめ』
2007年10月29日/丸善株式会社・出版事業部
税込 1,995円
ISBN・978-4-621-07912-6
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